なぜ越前なのか…福井という地との浅からぬ縁

工房のこと

越前工房の生活はたいへん、快適です。
時間の流れがゆっくりで。
静かで、何も邪魔するものもなく(15~20㎝のムカデという恐怖はあるけど…)

バリバリ制作にエンジンをかける…ていうより、今のところは「毒出し」の時間のように感じています。

毒出し、っていうと穏やかじゃない感じですが。
少なくとも昨年の夏以降、始まっていまして。
それが、この春から、深部へ至っているっていう状態。
デトックス…みたいなおしゃれ感は全くなく。
思いの外、自分の深いところにまで染みこんでいたんだなあ、ということを実感しながら、解毒や中和を試みているというところです。

毒出しについては、もう少し様子を見てから書くことにしましょう。
今のところは、このタイミングで越前工房に来ることができたのは、スゴいな、っていうことで。

   

なぜ越前?とは、よく聞かれるのですが。
実のところ、私はこの土地には、浅からぬご縁があります。

まだ、自分で「私は絵描きです」と名乗ることができなかった頃…というのが、ありました。

以前書いたのですが、私は15年弱の長期間、絵をやめていました。
というより、完全に捨ててました。
もう絵を再開することもないだろう、と普通に思っていたし。

ところが、いろんな出来事が重なって、なぜか好きでもないのに天使を描くようになってしまい。
その後、この道を降りることは二度とない、と決めるに至りました。
そのあたりのことは過去記事があるので、末尾にリンクを置いておきます。

ただ、「もうやめない」と決めるちょっと前。
天使の頃ですから、絵に戻ってからほんの、わずかしか経ってない頃です。
もう嫌、やっぱりやめる!と、あらためて撤退しようとしたことがあります。

今思えば、たいした理由ではないのですが。
あの当時は、まだ全く覚悟も定まっておらず、自信のカケラもなく、「こんなこと私がやっていてもいいんだろうか」という不安が先に立っていました。

その時にすぐに辞める宣言をしなかったのは、
「数週間後に、イベントに呼んでいただいていた」
からでした。
癒やしフェアのような集合イベントではありません。
あるサロンの主催者の方が、私の天使画セッションをご自身のお客様に体験してほしいというお気持ちで、招致をしてくださっていたのです。

それは、私にとって初めての「私という絵描きをネットの海から見つけ出して、呼んでくださった」方でした。
しかも、3日間も。

これをやり遂げるまでは、なんとしても踏ん張る。
そう思って、すぐに辞める宣言することはありませんでした。

そのサロンさんの所在地が、福井県鯖江市。

まあ、鯖江という土地はそれ以前にも、少々の因縁がありまして。
そこはまだ仔細に書くことはしませんけれど。
鯖江のサロンさんから招致オファーが来た、というのは、私にはかなり「運命を感じる」流れでありました。

結果として、その3日間のイベントを経て、私は「つまらないことで投げだしてはいけない。この道は、やはり、進むべき道なのかもしれない」と、思い直すことができました。

それほど、鯖江の3日間は、忘れられない時間になりました。

   

そんな経緯もあり、越前という土地は、私にとっては「絵描き魂の故郷」っていうと大げさかもだけど…それくらいの縁を感じる土地なのです。

ずっと応援し続けてくれている人達もいる、福井。
幸いにも、自宅からは、のんびりと一般道を運転しても3時間くらいですから、行き来も苦ではありません。

それくらい離れている方が「簡単には自宅へ戻れない」ので、隔離された仕事場としては都合も良かったりします。

越前工房のある場所は、福井陶芸村の一角。
越前焼きというのは、日本最古の六古窯の一つに数えられる、縄文からの焼き物です。
他の五窯は、瀬戸(愛知県)、常滑(愛知県)、信楽(滋賀県)、丹波(兵庫県)、備前(岡山県)で、これに福井県の越前を加えたのが、「日本六古窯」

私は愛知県民です。
瀬戸と常滑、二大産地のある愛知県。
名古屋市は、磁器絵付けの一大産地でもありました。
そこと越前を往復しての、制作。

個人的にも、土地柄的にも、浅からぬご縁があるのです。

   

工房の目の前に広がる福井陶芸公園

【参考記事】

     

    
     
     

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