ハノイ到着早々のトラブル顛末記【訪越2nd】

海外活動報告

2019年3月19日。
二度目のベトナムへ渡るべく、中部国際空港を午前10時15分という定刻で発った。
今回のルートも、前回と同じくハノイのノイバイ国際空港でトランジット。
ベトナムへは、ハノイで入国して、そこから国内線でダナンへ向かう。
航空会社も、前回と同じベトナム航空。
せっかくなので違うルート、違う航空会社…という選択肢もあったのだが。
特に行きでストレスを抱えたくないなと思ったため、一度経験済みで安心感もある同じルートを選択した。

ハノイまでのフライトは、約5時間。
ベトナムと日本の時差はちょうど2時間。
座席は今回も窓際。
しかも、3列シートの中央が空席で大変具合がよく。
気分良い、ハノイまでの航路だった。

ノイバイ国際空港で待ち受けるトラブルなぞ、知る由もなく。

機内食

   

なぜソレがないの?どこへやったの?…と聞かれても

ハノイは、小雨だった。
ベトナムは乾期に入っているはずなのだが…まあ、そりゃあ乾期だって小雨くらいは降るだろう。
傘持ってきてないけど…まあ、これくらいならね。

入国はハノイで済ませる関係で、預けた荷物はいったん、ハノイで受け取らなくてはならない。
ノイバイ国際空港は国際線ターミナルと国内線ターミナルが離れた場所にあり、移動はシャトルバス。
前回のフライトでは予備知識不足で、受け取った荷物を必死にシャトルバスに載せて、国内線カウンターまで自力で運んだ。

しかし、今回は違う。
前回仕入れた知識で、受け取った荷物はそのまま、すぐ近くに待機している空港職員に渡せば、ダナンへの便に空港側で積み込みしてもらえるのだ。
あとは、手荷物だけ持って自分の身だけでシャトルバスに乗ればよい。

入国審査室に入る手前で、職員からトランジットの目印になる青いシールを貼ってもらって。
つつがなく、入国審査を通過。
コンベアから荷物が出てきたら、すぐ近くの係員に、受け渡せばよい。

はずだった。

   

ベトナム航空のコーポレートカラーである、鮮やかなターコイズブルーのアオザイを来た職員が、なにやらベトナム語でまくしたてている。
何を言ってるのか、さっぱりわからない。

飛行機に預けた荷物はスーツケースが二つ。
一つはLサイズのハードケースで、もう一つはMサイズのソフトケース。

職員は、ソフトケースを指さして、なにか尋ねている。
大丈夫、私には旅のお供に個人通訳…翻訳アプリがある。
前回の訪越の時、旅慣れた同行者に教えてもらった、音声でも文字でも使えて精度も高いアプリだ。

VoiceTraというアプリ。公式サイトへ

さっそく。
ややイライラしている係員にアプリの音声入力画面を差し出して、身振りで「ここへ話してください」と伝える。

『この荷物は運べません』

………は?

二度見してしまった。
運べないって、どういうこと?

すると係員が新たに話しだしたので、再びアプリに話してもらう。

『こちらの大きい方はお預かりできます』

意味がわからん。
いや、翻訳された文章は理解できるけれど、その意味するところがわからない。
片方はよくて片方はダメって、どういうこと?

何度か、これと同じやりとりをした。
先方も、私が理解できていないことは理解してくれているようだけれど。
何が理解できていないのか、お互いにわかってない。

よし、聞き方を変えよう。

「では、こちらの小さい荷物は、自分でダナンへの便に乗せてもらうように持っていけばいいですか?」

正確にこういう風に聞いたかどうか覚えてないけど、内容はこういうことを尋ねた。

しかし、NOだと言う。

「自分で持って行くのもダメで、預かってもらうのもダメというのはなぜですか?」

『伝票がありません』

………は??
伝票???

困惑していると、係員のお姉様、ハードケースのハンドルに巻き付いている長いシートをつまみあげて、指さす。

『この荷物には、この伝票がありません』

よく見れば。
ソフトケースの方は、確かに、シートが見当たらない。
中部国際空港で預けた時、確かに、同じものを貼られていたはず。

『どこへやったの?』

いえいえ…どこへって言われても。
知らないですってば。

『この伝票を印刷してもらわなければ、これをダナンへ持って行くことはできません』

はい??? なんですと?
印刷してもらうって……どこで? どうやって?

仕方ないので、アプリを通して、それを尋ねる…わけだが。

ここではできない…というようなことを、どうも、言っている。
ちょっと待って、意味がわからない。
できないって言われても。

さあ、困ったぞ。
お互いに、相手が何を言ってるのか、翻訳される文章は読めても、その意味するところがわからない。

  

救世主現る

そこへ、若いイケメンのベトナム人が通りかかった。
日本からの帰国者とお見受けした。
職員に、何をもめているのか尋ねてくれている。
そして、ややカタコトではあるが十分通じる日本語で、通訳してくれた。

でも。
その内容は。
文章は理解できても内容が理解不能であるところの、「伝票がついてないので預かれない。伝票は発行してもらわねばならないが、ここではできない」の繰り返しであった。

何度か、そのイケメンさんと係員がやり取りをした結果。
イケメンさんが、「ハードケースだけを係員に預け、ソフトケースの方は持って移動しましょう」と。

うん、だから、それは最初から言っていてね……

「国内線ターミナルで伝票をもらえます」

え!そうなの?!なーんだ…じゃあ自分で持って行くっていうので良かったんじゃん~。

彼は、自分の荷物を乗せているカートに私のソフトケースを乗せて、歩き出した。
案内してくれるらしい。
なんて親切なんだ~。
シャトルバスの乗り場とかは知ってるけど、でもいいや!

空港出口に、彼のご家族と思われる、赤ちゃんを連れた若い女性が待っていた。
彼は奥様とおぼしきその女性に事情を説明し、そこで待機するように伝えている(たぶんそう)

そして、シャトルバスの乗り場へと向かう。
ベトナムは車社会。
待ってても、なかなか横断歩道を渡れない。
なので、現地の人が器用に車を押しとどめながら渡してくれたのは大助かりだった。
なにせ、あのすったもんだで、けっこう時間を食った。
乗り継ぎにはまだ時間があるけれど、のんびりはしていられない。

「ベトナムは初めて?」
「二回目です」
「一人ですか?」
「はい。ダナンで友人が待っています」
それを聞いて、彼は安心したようだった。
まあ、そりゃそうだ(笑)
「何歳ですか?」
「53」
すごく驚かれた。
たぶん、いろんな意味で(笑)
「わお、すごいですね!元気ですね!」
「ありがとう(笑)」

バス乗り場に着くと、彼はとてもとても爽やかな笑顔で「お元気で、ベトナム楽しんでください!」と手を振って、さっそうと家族の元へ去って行った。

素晴らしいよベトナムの人。
私もこれからは、困ってそうな旅行者見かけたら、お手伝いできることありますか?って、声かけることにしよう!

シャトルバスの車窓から、ノイバイ国際空港国際線ターミナルを見送る
国内線ターミナルにシャトルバスが乗り入れるところ

   

国内線で問答再び…デジャヴじゃないこれは現実

ソフトケース一つと手荷物だけ、というシャトルバスの移動は、前回の大荷物と比べたら雲泥の差で楽だった。
すったもんだしているうちに雨もあがって、日が差してきている。
蒸し暑くはなりそうだけど、イケメンさんのおかげで気分は上々。

着いたベトナム国内線ターミナルで、まずは電光掲示板をチェックに向かった。

中央の大きな掲示板に、たぶん「故障中」とか書いてあるらしい紙が貼ってあり、画面は真っ黒。
あらら…ということで。
もう一つ奥の掲示板を見に行く。
私の乗る便の一つ前の時間まで掲示されているが、その次は出ていない。
よし、今のうちに水を買っておこう。

出発する時は、ハノイに着いたら国内線に移動する前に両替しようと思っていたのだが。
騒動でそれどころではなかった。
しかし今回は、前回の訪越で使い残したベトナムドンを持ってきていたので水くらいは買える。

売店で水を買って、再び掲示板前に戻ったが。
内容が、さっきと全く変わっていない。
その時、ふとカウンターの方を見ると、私が乗る時間よりも後の便が、すでにチェックインしているではないか。
つまり、この掲示板も故障しているってことだ。
わーお、気づいてよかった。

そして。
翻訳アプリをスタンバイして、チェックイン待ちの列に。

カウンターに、パスポートとチケットを出し。
問題のソフトケースをコンベアに乗せる。

「荷物は二つでは?」
「一つは国際線で預かってもらいました。こちらは預かれないと言われたので、持ってきました」

アオザイの係員さん、あからさまに不審な顔になる。

「このケースの伝票がなくなってしまったのです」

係員さんの顔色が、不審から驚愕に。
そんなに多発することではないらしい。

さて…ここから、国際線で繰り広げたやりとりが、まるっと、再現された。
伝票はどうした…どこへやった…印刷は?

そのやりとりの最中に、ふと、気づいたのだ。

私が、自分で伝票を外したと思われているのでは?

そこで、アプリに吹き込む。

「ハノイで受け取った時には、もう、伝票はなかったのです」

ここで、係員の様子が一変した。

そう、つまり。
責任の所在…だったのだ。

航空会社側のミスだった、ということが判明したとたん。
対応が突然、変わった。

まず、カウンターをチェンジされた。
ビジネスクラス以上やゴールドメンバーの人専用のカウンターに。
別の係員がやってきて、さっきまでとは全然違った物腰で、パスポートやチケットをチェックする。
ソフトケースには、バーコードのシールだけは残っていた。
チケット裏面に貼り付けられた半券と照合し、それが私の荷物で間違いないことが証明された。
サクサクと、何も滞ることなく手続き完了。
チケットに書かれた搭乗ゲートの説明をしてくれる間も、にこやかなことこの上ない。

ああ、こういうのが、日本じゃないんだなって感じるところかもな…。

なんて、やや感慨深く思いつつ、身軽になって搭乗ゲートへ向かった。
前回も来ているから、まあ、ここから先は特に問題もないだろうし。

これは帰国便に乗せた時のソフトケース。
この長い伝票が、行きの飛行機のどこかでちぎれ飛んだかどうかして消えてしまった。
左についているバーコードシールは残っていて、これで持ち主証明ができた。
ちなみに、帰りの便はダナンで預けた後は中部国際空港まで自動で送られたので本当に楽だった。
(ただし、帰国便ではまた別の危機があって、本当に紙一重で帰ってこられたのだけど…)

   

油断大敵…あやうく乗り逃すかっていう

搭乗ゲートの前まで来て、ほっと一息、ベンチに腰を下ろした。
メールチェックして、返信書いて。

けど。
もう、搭乗始まる時間なんだけど…人少なくない?

フライトに遅延はない。
もっと沢山人がいるはずなのに。

そこで思い出したのは、前回の訪越。
ダナンを出る便が、直前になってゲートが変わっていて、焦って移動したのだった。
これは、もしかして…

近くの掲示板まで行くと、思った通り。
ゲート変更になっている。
しかも、今いるところから一番遠い…ぶっちゃけ、端から端!

走るしかない!

運動しないからさ、走るったって、カメ同然。
それでも徒歩よりかは、マシ。

搭乗手続き中の人が列になっているところへ、やっと追いついて。
ゼーゼーいいながら、チケットとパスポートを出す。
職員の無表情は、こういう時は救い。

座席についたら、そりゃあもう、どかっと疲れが出た。

まさか初日の、到着前からこんなドタバタになるなんて。
これはもう、今回の訪越はもしかしたら、ネタの宝庫になるのかも?!


…実際、そうなったのであった。

   

    PAGE TOP
    タイトルとURLをコピーしました