転ばぬ先の杖ならぬ「教訓の先取り」がありがたいので記録しておくの巻

作品制作についての諸処

「手慣れると、気の入り方が鈍くなることがある」

これは、龍の徳利&ぐい呑みセットを納めてきた時にいただいた言葉。

陶器絵付けというジャンルで、ようやく、そこそこ自由に描けるようになってきたばかりのここ最近。

ご神前に御神酒をあげる時の酒器として、今回ご指名いただきまして。

お納めしてきたわけです。

こちらです。
https://www.instagram.com/p/BXZnZTuFoBL/

供していただく「神棚」は、真新しいものだとか。

先代の神棚が祀られている時は何度かそのお部屋におうかがいしたことがある現場ですが。

様々、環境が変化したことで、祭壇関連を一式、ご新調されたそうな。

(公開してもよいお写真がいただけたら、参考にお見せするかも?)

「手慣れると、気の入り方が鈍くなることがある」

今はまだ…特にこの酒器を制作した時は、まだまだ、使う絵の具が安定していなくて、試しながら描いていた時期。

イッチン技法そのものには馴染みが出てきた頃合いではあるけれど、そうそう自由になるわけではなく。

この土と絵の具の相性も未知数。

しかも、最後の大事な施釉の段階も、これを焼いてもらった一回前の本焼きが大きく失敗して全滅だった、という直後でもあり。

その失敗の起きた工房とは別の窯で焼く(つまり使う釉薬も全て違う)とはいっても、前回の失敗は私自身が気がつくことができなかった「凡ミス」でもあったので。

かなり、慎重に臨んだ施釉でした。

慎重にやりすぎ、一部「かえってそれがよくなかった」箇所も出ているのですが。

それでも、思ったよりはうまく仕上がってくれて、ほっとしたセットでもあります。

そんな経緯のため。

手慣れる前の未熟な時だったからこその、気の入り具合

というのは、言われて納得。

そして。

これから、陥りやすい、慣れてきたからこその手の抜け具合

(この表現、難しい。手を抜くことも必要で、何でもかんでもぎっちり気を張り詰めればいいってもんじゃないのだけど、それを言ってるわけでもないしね)

というのを、今のうちから頭に入れておくべきだと。

教訓の先取り。

わかるよー。

そのことは、神絵の時も焼き絵の時も、すごく、感じる瞬間てのがあったから。

ああ、慣れてきたからこその劣化が始まったな、っていう。

気がついては、ズレを直して姿勢を戻して…って今までやってきたけど。

陶器だって、同じだしね。

陶器は、最後は完全に自分の制御の外に出てしまう。

そして、その工程が結果のほとんどを決定する。

そういう、他の画材の時にはない要素が大きくて。

最後は神頼み、っていう思いが他の画材よりすごく、大きくて。

おかげで、かえって「自分がやれる工程」に対する細心さを置き去りしがちに、なるのかも知れない。

今はおっかなびっくりのところも多々あるから、そんな余裕はないけど。

いずれは、そういうステップにもなってくるだろうから。

コストも時間も、陶器でコケた時は半端ない。

他の画材なら、仕上がる前に不出来はわかるので、そこで中断すればすむけれど。

陶器は、最終工程で大ショック、ってことが起こるのが恐ろしい。

そういうのが、陶器にはつきもののハードル。

だからこその面白さもある。

そして。

「千年後にもそのまま残り色褪せない」という陶器だからこそ。

そこに込める願い、というものもあって。

陶芸家になるつもりはないけれど術師的絵師のヒヨコとしては、陶芸家の方達とはまた違った追求の仕方、というものが、あると思っていて。

その道のためには、「手慣れによる気の劣化」は、本当に、気をつけなきゃいけない。

イッチン技法の素材を本当にありがたい経緯で使うことができるようになって。

絵の具も、発色のよいものを専用の製造業者さんから入手できるようになって。

とても丁寧に変形皿の素焼きを作ってくれる人もいてくれて。

よくぞここまで、っていうくらいに、用意してもらえてる。

もちろん、そういう風に自分が動いてきたのだけども。

見えない世界的な動きがかみ合ってなかったら、それも成立しなかったはず。

(今までには、成立しなかった技法もいろいろあるので、そこは重々に感じる)

大国主命を作った時に、「土から作るのは造形品だけだな」と、実感した。

https://www.instagram.com/p/BQFGaO3gCHd/

食器は、絵付け専門にしよう…と決めて。

素焼きされた状態で入手できるように、あちこちあたった。

私に手が出る「ロット数」でないと、そもそも無理だし。

それなりの大きさがあるものも欲しいし。

規格品ではないものも、作りたいし。

けっこう条件は厳しいけれど、なんとか、「かっちりしして格調もある角皿」をとてもありがたい条件で入手できる経路をつないでいただけて。

私が希望するカタチと大きさの変形皿を素焼きまでしてくれる方も見つかった。

おかげで、今、企画を持ち込もうとするところまで詰めてこられている。

この流れを、なんとか、太くしていくのが、今集中していること。

その熱量が、「手慣れていない今」がピークだったね、なんてことは、あってはならないのだ。

まあ、先日、「自分のための、その先」てのも、はっきり認識できたし。

「一定のスピードで走り続ければ力はいらない。チャンスが来たら一気にゴールできるように馬力を溜める!」

と、福の神からメッセージももらっているので。

今日いただいた先取り教訓を、根底に刻みつけつつ、一歩ずつ前に出る…と。

いやあ、この8月は本当、いろいろありますな。

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